現代日本語における接続助詞「~とも」の意味・用法

––– 「~ても」と比較して –––

前田 直子(学習院大学)

キーワード:  接続助詞; 「とも」; 「ても」; 「少なくとも」; 複文

要旨

本発表は接続助詞「~とも」の意味・用法について考察する。「~とも」は「~ても」と同様、逆接条件用法を持つが、「~ても」よりも古めかしい形式であると考えられており、現代語レベルでの研究はあまり進んでいない。だが「~とも」は「~ても」とは性質が異なり、また話しことばでは基本的には用いられず、もっぱら書きことばで使用され、上級以上の学習者にとっての理解(読解)・産出(学術論文など)には必要な形式である。よって本発表では、評論49 冊(Castel/J CD-ROM)をデータとして「~とも」の用例を採集し、以下の点を中心に「~とも」の意味・用法について分析・考察する。

1 「~とも」の接続形式

表1
  ても とも 1 とも 2(ようと(も))
動詞 肯定 しても   しようと(も)
否定 しなくても しなくとも せずとも  
イ形容詞 肯定 くても くとも   かろうと(も)
否定 くなくても くなくとも からずとも くなかろうと(も)
名詞

ナ形容詞
肯定 でも      
であっても     であろうと(も)
否定 でなくても でなくとも   でなかろうと(も)
    ならずとも  

 

「~ても」とは異なり「~とも」は、動詞肯定形に接続する場合に意向形に接続するが、その際、「も」の省略が可能である。よって「~とも(=とも1)」と「~ようと(も)(=とも2)」は異なる形式であると捉えるべきである。

2 「~ても」と「~とも」の用法

「~ても」にしかない用法としては、例1のような反復用法がある。例2のような不定用法は「~とも」にも出現する。

例1)これはまわりの温度が高くても低くても起こるので、氷が融けるのとはちがう。

例2)日本にもトナリ組的近隣集団がどのムラにもあるが、この集団はあくまで各戸単位の構成であり、どんなに機能が高くとも、各戸の孤立性を低くするものではない。

3 「~くても」と「~くとも」の相違

表1を見ると、「~ても」と「~とも」の対立・相違が問題になるのは「~くても」と「~くとも」の場合である(網掛け部分)。「~くとも」の68%は「少なくとも」である。動詞述語否定形の場合は「~ても」は「~くとも」の約4倍、形容詞述語(肯定・否定)の場合は約2倍であり、いずれも「~ても」が優勢であるが、名詞述語否定形の場合は両者は拮抗する。

「~とも」に特徴的な副詞句「少なくとも」が限定するものには、数量・時期の他、主体・観点などがある。

否定述語に後続する場合、「~ずとも」という形式があるが、現代日本語においては限定的な使用にとどまる。

「~とも2(=~ようと(も))」は、むしろ「~ようが」と意味および接続の上で共通性を持つ。

【参考文献】