月例会
2023年1月14日
テーマ
言語研究と「目に見えない」言語構造の明示化:主語論を中心に
講 師
ウェスリー・M・ヤコブセン教授 (Professor Wesley M. Jacobsen) (ハーバード大学)
概 要
日本への進学──日本升學講座
以前から指摘されているように、言語研究が日本語教育に貢献しうる大事な役目の一つに、目に見えない、隠れた言語構造を観察可能な、明示的な形にすることが挙げられる。 特に、述語の意味を理解するのに欠かせない名詞句のパターン、いわゆる「項構造」を明示化することによって、日本語という言語にまつわる様々な誤認が払拭される。 その一つが、日本語に主語はない、という誤認であるが、項構造という概念を認めれば、どの述語にも関係している名詞句が最低1つあり、そこから自然に主語の存在が明らかになる。
当発表では、筆者が以前提案した、「項」というものを特定できるテストをもとに、主語存在論への反例に見える二つの構文を取り上げて、「目に見えない」ところに例外なく主語の存在が認められることを論じることにする。
