
月例会発表概要
香港人メンタリティーと日本研究の需要・発展
香港城市大学専上学院
村上 仁
今回の月例会では、博士論文として提出された拙論 “The Development of Japanese Studies in Hong Kong” の内容についてご紹介させていただきたいと思います。
まず、前半部分では、香港人メンタリティーについて考察しました。1842年に締結された南京条約でイギリスの植民地となって以降、香港はさまざまな変化を経験しました。第二次大戦中の日本占領、戦後のイギリスへの復権、さらに1997年の中国返還を経る中で、香港人メンタリティーがどのように形成されていったかを探りました。その中で、香港人メンタリティーを “insecurity”(不安定さ), “flexibility”(柔軟性), “pragmatism” (実利主義)という3点に注目して定義づけました。
後半部分では、イギリスの植民地となってからの香港において、どのように日本研究の需要が見られたかを調べました。その結果、1950年代までを「低需要期」、1960~1980年代を「需要成長期」、そして1990年代以降を「需要拡張期」と位置づけ、それぞれの時期の背景から、香港人メンタリティーが日本研究の需要の変化にどう関わっているかを考察しました。